胃痛とは?
“のどもとすぎれば熱さ忘れる”ということわざがありますが、ヒトは食道より後ろの消化管では痛みや熱などを自覚することはできません。
では“胃痛”とはどのようなことを示すのでしょうか?
消化管の発生の成り立ちにおいて、消化管の壁に発生した神経の束は、はじめはたんなる食物内容の輸送の仲介者としての役目しかありませんでした。進化の過程において中枢神経である脳と連絡を持つようになると、より高度な感覚装置としての機能をもつようになり、体内で起きた出来事が、苦痛から快感までにいたる実感としてとらえられたり、体外の出来事が、ある時は心を跳らせ、ある時はみぞおちを痛める原因となりえます。空腹感や満腹感、さらにはもたれ感にいたる様々な感覚が胃の異常として感じられ、特に胃の収縮が強く起こったときには、“こむら返り”の時の痛みのように内なる痛みが“胃痛”として自覚されることになります。
胃痛で考えられる消化管の病気
- 胃炎、十二指腸炎
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 胃アニサキス症
- 逆流性食道炎
- 機能性ディスペプシア
胃痛の検査
胃痛の原因を調べるには、症状をくわしくお聞きした上で、胃内視鏡検査を受けることが勧められます。
また、じっとしていられないほどの痛みや痛む箇所が時間とともに移動するような場合には、消化管以外の臓器の異常によって生命に危険が及ぼすこともあるため、早めにクリニックを受診するようにして下さい。
胃痛の治療
薬物治療
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミン(H2)受容体拮抗薬などの胃酸分泌抑制剤。六君子湯などの漢方薬。
食事で心がけること
脂っこい食事を避け、アルコールやコーヒー、香辛料などの刺激物を控えていただきます。
生活で心がけること
十分な睡眠をとり自律神経のバランスを整えることも大切です。